令和6年5月12日 第35回やねだん故郷創世塾で語る

2024-06-04

2024年5月12日,篠突く雨の中,第35回やねだん故郷創世塾へ。公共政策や地域振興政策などについて,毎回視点を変えながら話しているが,今回は,「地方創生とジェンダーギャップ」と題して,地域課題の最大のテーマ人口減少,人口流出の問題を,ジェンダーの視点から話した。
都会に出て行く若者のうち,女性は男性より戻ってくる人が少ない。以前からいわれていたことだが,これを数値化し,地方創生のリアルとして市をあげて取り組んだ兵庫県豊岡市の事例(「豊岡メソッド」日本経済新聞出版)を紐解きながら,それぞれの地域で応用できることはないか考えてみた。(もともとこのテーマは,地域振興の肝であり,私自身深掘りしてみたかった。)
豊岡市では,地方創生戦略を作業する中で「若者回復率」(簡単に言うと都会へ出て行った10代の若者が20代でどれくらい戻ってきているかということ)を算出し,景気に左右される男性に比べ,女性は一定して戻ってきていない。この現実に「気づき」(1回目のとよおかショック),すべての政策の前提であると考え,地方創生のリアルとして,その柱に据えたことが大きい。まずは,若い女性をはじめ各世代,男女,様々な視点からヒアリングを実施,地方の「息苦しさ」「働きがいのなさ」といった課題を浮き彫りにしていく。ワークショップという手法を十二分に活用し,或いは,市の魅力の1つ「劇団」を生かして,演じることで他者の立場を経験させ,ジェンダーギャップの問題を市民に「自分ごと」として考えてもらう。専門家には,戦略作りの当初から参画してもらい,よくある事務局案の追認ではなく,戦略の原案を提案してもらう,このような手法が徹底してとられている。
また,ジェンダーギャップの問題は個人の生き方や価値感にも関わる話であり,デリケートなテーマ。正面から入っていったのでは困難も多い。そこで,人手不足に直面している経済界の取り組みを優先させたことも効果的であった。
このほか,地域コミュニティ,学校など各分野,各世代にまたがりまさに市をあげた取り組みが展開される。
地方創生の柱に据えて4年余。ここで思わぬ展開が待っていた。次の市長選でまさかの現職落選(これが2回目のとよおかショックと言われている)。新市長は「ジェンダーギャップの解消は必要な取り組みだが最優先でやることではない。」と。思うにこれもリアル。ジェンダーギャップの解消は地方創生のリアルであると同時に,新市長の言葉もまた,地方政治(行政)のリアルであろう。地域振興策はもとより,福祉,教育,子育て,介護,福祉,社会インフラ,防災等々,地方政治は課題山積。しかし,新市長もジェンダーギャップ解消の取り組み自体は否定しておらず,その後も粛々と展開されている。
さて,応用について。優れた取り組みは多々あった。一方,豊岡市の産業や特性ならではのものもあり,他地域で応用できるものを考えてみた。
ざっと言うと次のようなことか。
①まずは,若者回復率を試算してみる。
②若者の意見を聞いてみる。(課題の浮き彫り)
③改めて地域の魅力,財産を探してみる。
④それらをつないでみる。深掘りしてみる。(単なる単発の施策の集合に終わらせない。)
⑤市民に自分ごととして考えてもらう。(行政はその工夫に努める)
⑥アウトカムによる目標,施策体系を考えてみる。(施策の羅列より,何を目指すのか,どうすればよいか,が市民から見て分かりやすい。)
⑦専門家を如何に活用するか。(事務局追認型でないもの)
など
ジェンダーギャップの解消は,アンコンシャスバイアス(無意識の意識)もあり,難しくデリケートなテーマ。一方で,女性が生きやすい地域というのは,誰しも生きやすい地域といえるのではないだろうか。これからも各界各層のさらなる取り組みが期待される。私も自分にできること続けていかねば。(ヤマイシ)